部下の笑顔に隠れた疲弊に気づいていますか?感情労働のリスクと対策

いつも明るく振る舞っている部下が突然休職してしまった。クレーム対応の多い部署で離職率が下がらない。
こうした課題の背景には、「感情労働」による深刻な疲弊が隠れているかもしれません。
かつては社会人としてのマナー、個人の資質とされてきた、従業員の笑顔や忍耐は強さは組織がリスク管理すべき「第三の労働」として再定義されています。

1. 「第三の労働」としての感情労働

労働には、体を動かす「肉体労働」、知識やアイデアを出す「頭脳労働」がありますが、現代のビジネスにおいて重要度が増しているのが、顧客や対象者に対して場に合わせた言葉や態度を表出する「感情労働」です。特に、感情のコントロールそのものが業務の根幹を成す業種ででは、感情労働の負担が大きくなります。

  • ホスピタリティ業:自身の内面の揺らぎを抑えて、常に期待以上のおもてなしを提供する
  • 医療・介護: 緊迫した場面やデリケートな状況での治療や応対

最新の研究(Mohamed et al., 2025)によると、対人援助に関わる労働者の約4割が、感情労働の末に情緒的消耗(心が空っぽになる感覚)を経験していることが明らかになりました。さらに、現代特有の要因がこの負荷を加速させています。カスタマーハラスメントとSNSにより、理不尽な要求に加え、「いつどこで撮られ、拡散されるかわからない」というプレッシャーから従業員に過度な緊張状態になります。また、感情労働は脳へ負荷がかかり、短期間でのバーンアウトや精神疾患のリスクを高めるといわれています。

2. 感情労働での離職を防ぐには?

感情労働の最大の難点は、周りからみてわかりにくいところです。肉体労働や頭脳労働は、業務の進捗や成果で評価しやすいですが、感情労働は「プロなら笑顔で当然」と社会人としてのマナーや「優しいからこの仕事に向いている」といった個人の資質にすり替えられがちです。その結果、疲れを表に出すべきでないと考える責任感の強いスタッフほど、燃え尽き症候群(バーンアウト)や精神疾患を発症しかねないのです。ある研究(Tu et al., 2025)では、個人のレジリエンス(精神的な回復力)よりも組織的なサポート不足の現場ほど、感情労働による離職率が高まると報告されています。

3. 管理職・人事が取り組むべき3つの視点

感情労働による離職防止のため、セルフケアだけでなく組織としての対策を行いましょう。

① 感情労働の舞台裏をつくる

ホスピタリティやケアの現場では、常に評価されている、気が抜けないという緊張感があります。プロの仮面を外せる時間や休憩スペースを確保し、緊張を緩める環境づくりが望ましいでしょう。

② 心理的安全性の確保

従業員が自身の不調を早めに相談できる環境づくりが大切です。心理的安全性が保たれていなければ、従業員から相談してもらうことはできません。何に困っているのかを早めに知るための機会を設けましょう。例えば、1on1ミーティングを行い、業務の進捗報告だけでなく、業務中に心がすり減るような場面はなかったか?という気持ちに寄り添ったヒアリングが有効です。また、クレーム対応をしているとひとりで矢面に立たされている不安・不平感をおぼえることがあります。カスタマーハラスメントへの指針を明示することで、職場ぐるみで対応する姿勢を示しましょう。

③ 感情労働についての教育

感情労働によって心が疲弊する仕組みを理解すれば、不調に早めに気づき、対策を講じることができます。
メンタルヘルス研修は是非弊社にご相談ください。




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参考文献
Tu et al. (2025). Frontiers in Public Health. (感情労働と組織的サポートの関係性に関する研究)
Mohamed et al. (2025). Frontiers in Public Health. (対人援助職のバーンアウトに関するメタ分析)
※本記事の画像はAIで作成しています